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a brilliant donut

医療を中心とした、話題を。いつか、どこかで、誰かの役にたてば幸いです。

〜存在診断と質的量的診断を意識する〜

診断は「存在(診断)」→「質的量的(診断)」で行うとよいかもしれない

 

医師が求められることを一言でいえば、「診断と治療」になるのではないでしょうか

 

多くの方々は無意識に行なっている方法と思いますが、今回はこの診断の時の思考プロセスのポイントと思うことを記載します

 

それは

 

「診断は常に存在診断→質的量的診断の順で行う」

 

ということです

 

①まず、存在を診断し

②ついで、質的量的に評価をする

 

自分自身が臨床を行う中で、経験した例を挙げてみます。

 

例1)

「胸痛で来院された○○歳の男性です。」

「胸痛で見逃してはいけないのは心筋梗塞なので、まずをそれを考慮しました。」

「心電図、血液検査、心臓超音波検査をしましたが、特別疑う所見はありませんでした。循環器Drにも相談しましたが、その可能性は少ないとのことで、胸部CTを撮像したところ、肋骨骨折であることがわかりました。」

 

これは、しばしば耳にする「まず緊急性の高い疾患を除外しよう」という原則を用いて

の考え方だと思います。

 

”緊急性が高い疾患を念頭におく”

 

これは非常に重要なことですが、上記の状況(すなわち、すぐにあらゆる検査を行い、

結果が出、さらに専門医にも相談できる)がいつ何時も可能でしょうか。

 

三次救急を行なっている総合病院で、スタッフも充実していればよいかもしれません。

 

○クリニック・診療所

○二次病院の救急外来・病棟

○夜間の当直バイト

○忙しい一般外来

など設備が重厚ではなく、あるいはマンパワー的に緊急での検査・処置が出来ないような状況ではどうでしょうか。

 

おそらく困難と思います。

 

さらにいえば、その”必要性”も疑問です。

 

そもそも、痛みへのアプローチ*として、本例の肋骨骨折の場合は痛みは体性痛であり、対して心筋梗塞は内臓痛、俗に言う”心臓痛”です。つまり、痛みの性状を分析することでその(不要な検査をする)必要性もなくなるはずです。

(ちなみに、このようなアプローチが時間的病態的に出来ない、緊急の状態は例外的にあります*)

(そして、当然、問診から的確に判断が出来ない場合は、検査せざるを得ないことも往々にしてあるでしょう)

 

この例1)で学んだことは「緊急性が高い疾患を念頭におくことは重要であるが、急ぐ状況でない場合には、まず”胸痛がある”という存在診断を行い、次に胸痛の性状を分析するという質的量的診断を行うことでよりReasonableなアプローチ(胸痛が緊急性が高いものか否かを問診である程度判断する)が出来たかもしれない」ということです

 

例2)

「今日、入院した患者さんに、入院時検査として胸部 X線を撮像しました。」

「そしたら、右肺に腫瘤様陰影を認めました。」

「なので、肺がんを疑い、胸部CT検査と腫瘍マーカー、喀痰細胞診を提出しました。」

 

これも、しばしば耳にする「腫瘤は悪性疾患を忘れない」という原則を用いての考え方だと思います。

 

”腫瘤性陰影を見たら、悪性を念頭におく”

 

これは非常に重要なことですが、果たして、いつ何時も可能でしょうか。そして、必要でしょうか。

 

まず「腫瘤があるという存在診断」を行い、

ついで、「腫瘤の性状を分析する*」を行うことで

「腫瘤の形態的特徴からは悪性が疑われますので、専門医に相談します」

「腫瘤の形態的特徴からは良性が疑われるので、数ヶ月後に画像検査で経過をみます」

などのように、一歩踏み込んだ、思考が出来るのではないでしょうか。

 

例3)

「今日、救急搬送された患者さんは重度の高カリウム血症でした。」

「慢性腎臓病があったので、それによる排泄不良が疑われました。」

「・・・」

「検査結果をみると、pH6.6の高度のアシデミアがあり、アシデミアを補正したところ、カリウム値は正常に戻りました。。。」

 

本例においては、高カリウム→腎臓が悪いし、頻度的にも多いから、

腎臓からのカリウム排泄低下でなったのだろうといういわゆる”頻度的診断”が

されていたのだと思います。

 

しかし、高カリウム血症のアプローチ*は

(緊急病態であれば、原因に関わらず、高カリウム血症の治療を開始しますが、)

まず電解質異常の原則(これも別項で述べます)通り、In/Out/Shiftのいずれが原因で

カリウム血症になっているかを確認することです。

 

本例も、基本に忠実に、

○Inの要素   :カリウム摂取過剰

○Outの要素:尿中カリウム排泄低下

○Shiftの要素:酸血症、高血糖(インスリン欠乏)、β遮断

に着目していれば、成因評価が適切にできたのではないでしょうか。

(簡易的には血液ガスと随時尿カリウム濃度から推測)

 

いくつか例を挙げてみましたが、このように、診断の時は「存在(診断)」と「質的量的

(診断)」をしっかり意識すると、より深みをもった論理的なアプローチの一助になるの

ではないかと日々、臨床を行なっている上で感じている次第です。

(例え、結果的に同じ検査をするかもしれないけれど汗汗、自分の中で確定のために

検査をするのと、除外のために検査をするのでは全く意味が異なるのではないかと

個人的には日々、思っています)

 

参考文献)特になし

*すべて、別項で述べます