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アスピリンに解熱鎮痛作用はあるか?

 定期的に服用される”低用量”アスピリンは、解熱鎮痛作用は乏しく、体温上昇はマスクせず、また、鎮痛としてNSAIDsの上乗せは有効である

 

現在の医療では、非常に頻繁に用いられているアスピリン

 

その抗血小板作用から、本邦でも

脳梗塞》*1

急性期抗血小板療法;アスピリン160〜300mg/d (Grade A)

慢性期抗血小板療法;アスピリン  75〜150mg/d (Grade A)

《STEMI/NSTEMI》*2

抗血小板療法;発症直後162〜325mg/d (Grade A)

       PCI後       81〜162mg/d (Grade A)

 として、血栓塞栓性疾患に頻用されている。

 

 バイタルサイン、特に”体温”を評価する際は

「解熱鎮痛作用をもつ薬剤*を服用している場合、体温上昇がマスクされる可能性があることに留意する(体温上昇がなくとも、全身性炎症病態は否定できない)」

*NSAIDs、アセトアミノフェン、糖質コルチコイド(ステロイド)製剤など

必要があるが、

(Question .1) 血栓塞栓性疾患でアスピリンを定期的に内服している場合は解熱作用は考慮すべきか?

 

また、鎮痛薬として頻用されているNSAIDsであるが、

(Question .2) 血栓塞栓性疾患でアスピリンを定期的に内服している場合はNSAIDsの上乗せは有効か?

 

さて、設問に対する答えを述べると

血栓塞栓性疾患で定期内服されるアスピリンは”低用量”であり、解熱鎮痛作用は乏しいため、体温上昇はマスクせず、また、鎮痛としてNSAIDsの上乗せは有効である

ということになる。

 

このポイントは用量にある。

すなわち、アスピリンは用量によって、その主たる効果が異なるのである。

具体的には*3

◯低用量(<100mg/d) COX-1               → 抗血小板作用

◯中用量(<4g/d)   COX-1 & COX-2 → 解熱鎮痛作用

◯高用量(>4g/d)      COX-1 < COX-2   → 抗炎症作用

 

とされており、通常、定期内服される”低用量”アスピリンは抗血小板作用が主体である。

 

市販薬で”中用量”アスピリンが含まれる製剤は当然、解熱鎮痛作用があることに注意したい

 

*1 脳卒中治療ガイドライン2015

*2 JCS2012/2013

*3   

www.uptodate.com