a brilliant donut

医療を中心とした、話題を。いつか、どこかで、誰かの役にたてば幸いです。

たちあがる、ただそれだけで、とくをする

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糖尿病の治療において、運動療法はその核をとなるものですが、現実は厳しいものです

 

推奨される運動療法(中強度~高強度の運動を1週間に150分以上)を10人中9人は行えていない、すなわち、実施率が10%という報告もあります(Duvivier BM, et al. Diabetologia. 2016 Dec 1.)

 

そこで、米国ではアメリカ糖尿病学会(ADA)が、「Get Fit Don't Sit」キャンペーンを展開しています(American Diabetes Association: Prevent type 2 diabetes, join inaugural National "Get Fit Don't Sit" Day Alexandria, Virginia:May 4, 2015:ADA)

 

これはつまり、“座っている時間を少しでも減らそう”というメッセージです

 

①日本では1日の座位時間の平均は420分/日である(Am J Prev Med. Aug 2011;41(2):228-235)。これは実に起床時間の半分を座っている換算になる。

 

②座位時間が長いと、2型糖尿病リスクが91%上昇する(Ann Intern Med. 2015;162(2):123-132.)

 

③身体活動量の指標であるMetsを参考にすると少し立ち上がって動くだけで、2倍以上の活動量になる(国立健康・栄養研究所 身体活動のメッツ表(http://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf))

 

これらからも、まずは座っている時間を減らすという意識づけは有用と考えられます

進行した認知症患者さんの食事問題

・進行した認知症の場合、食事摂取や薬の服用が予定通り行えないということはしばしば遭遇する問題である

・そのような場合、”ムラ”を許容し、本人のペースに合わせることが大切で有効かもしれない

 

先日、当院を退院したばかりの患者さんが当院に搬送されてきました

 

内容は「食事や薬をしっかりとってくれない」というものでした

 

検査の結果、特記すべき急性病態の関与の可能性は少なく、ご家族様のお話し等々を総合(10年来のアルツハイマー認知症があり、急性経過ではなく、以前から食事、薬の服用にはムラがあり、また抵抗することがあったとのこと)すると「進行した認知症による慢性的な影響であり、untreatableかつslowly progressiveなもの」と考えられ、食事と補液で経過を観察することしました

 

入院中の食事・薬剤の服用には”ムラ”があったものの、本人の状況に任せてスキップ可とし、経過をみておりました

 

最終的には、食事・内服の”ムラを許容”する形で、本人の状態・検査値的異常も特記すべきものなく安定して経過し(当然、もともとやせ型の体型で栄養状態がよいとはいえない状況でしたが、それが悪化することもなく)、施設に戻って行かれました

(ちなみにこの方はADL要介護4レベルで、ほぼベッド上におり、眠っている時間が多いものの、しっかりとコミュニケーションは取れる方です)

 

このような「進行認知症に対する食事の問題」とはどのようなものかを調べてみました

 

①食事の問題は“認知症進行期でみられる特質であり、しばしば遭遇する問題”である

(National Hospice and Palliative Care Organization: Facts and Figures. 2012. http://www.nhpco.org/sites/default/files/public/Statistics_Research/2012_Facts_Figures.pdf (Accessed on March 29, 2013).)

 

②具体的な状況としては

  • 口の問題 :溜め込む、吐き出す
  • 喉の問題 :飲み込みの遅延、誤嚥 → 誤嚥性肺炎
  • 気分の問題:食への興味低下、食事の拒否

 がある

 

③対応方法としては経口摂取の継続と経管栄養(PEG etc)の導入の2択があるが、経口摂取が推奨される(J Am Geriatr Soc 2014; 62:1590.CMAJ 2014; 186:1319.Feeding tubes for people with Alzheimer's Disease.http://www.choosingwisely.org/wp-content/uploads/2014/05/CR-ChoosingWiselyFeedingTubeAGS-ER_052013.pdf(Accessed on September 05, 2014).)

 

(そもそも、栄養摂取の方法を直接比較したRCTはないものの、systematic reviewではそれが認められず(Cochrane Database Syst Rev 2009; :CD007209.)、比較的規模の大きいコホート研究でも生命予後の延長に寄与せず(J Am Geriatr Soc 2012; 60:1918. Arch Intern Med 2001; 161:594.)、栄養状態の改善もなく(J Am Geriatr Soc 1995; 43:447. J Am Geriatr Soc 2000; 48:1048.)、誤嚥性肺炎の予防効果も乏しく*( Lancet 1996; 348:1421.J Am Geriatr Soc 1990; 38:1195.)、経管栄養の導入による健康上のメリットは認められず、侵襲的処置による合併症リスクがあるだけである(N Engl J Med. 2000;342(3):206. JAMA. 1999;282(14):1365. Arch Intern Med. 2012 May;172(9):701-3.))

 

④具体的なコツは食事摂取の工夫と食事時の工夫である

○食事摂取の工夫;

  覚醒がしっかりしている時間に(scheduling meals)

  適切な姿勢で(optimizing positioning)

  気をそらすものを避け(minimizing distraction)

  摂取をしやすい器具を用いる(providing assistive utensils)

(Swallowing disorders and aspiration in palliative care: Assessment and strategies for managementAuthors:Tessa Goldsmith, MA, CCC-SLPAudrey Kurash Cohen, MS, CCC-SLPSection Editors:Eduardo Bruera, MDKenneth E Schmader, MDDaniel G Deschler, MD, FACSDeputy Editor:Diane MF Savarese, MDContributor DisclosuresAll topics are updated as new evidence becomes available and our peer review process is complete.Literature review current through: Apr 2017. | This topic last updated: Jan 06, 2016.Palliative care of patients with advanced dementiaAuthor:Susan L Mitchell, MD, MPHSection Editors:R Sean Morrison, MDSteven T DeKosky, MD, FAAN, FACP, FANADeputy Editor:April F Eichler, MD, MPHContributor DisclosuresAll topics are updated as new evidence becomes available and our peer review process is complete.Literature review current through: Apr 2017. | This topic last updated: Mar 01, 2017.)

○食事時の工夫;

  好物を食する

  食べやすい大きさで

  栄養補助食品を利用する

  (J Am Geriatr Soc. 2011;59(3):463.)

 

⑤経口摂取における重要な意義は

 ・適切なカロリー摂取ではなく、本人が楽しめる程度に食事を提供すること

 ・経口摂取のメリットは①食事を味わう喜び②食事を通して、介護者、家族と共に時間を過ごせること

 である(J Am Med Dir Assoc 2003; 4:27.)

 

進行した認知症患者さんの食事の問題というのはごくごくあるものであったのです。

 

そして、今回の場合も、「無理に食事や薬を試みると、拒否が強いものの、ムラを許容し、ペースを合わせた結果、そのようなことも少なく」なり、笑顔も見られるようになりました。

 

実際は、通常の食事時間(介助)と比較して長い食事時間を要することが多い(J Am Med Dir Assoc 2003; 4:27.)とのことですが、状況が許せば、

 

”本人のペースに合わせて、栄養学的な側面より緩和的・本人の精神心理的側面を考慮して食事摂取や服薬を考える”

 

ということがより大切で有効かもしれません

 

Referrence)Palliative care of patients with advanced dementiaAuthor:Susan L Mitchell, MD, MPHSection Editors:R Sean Morrison, MDSteven T DeKosky, MD, FAAN, FACP, FANADeputy Editor:April F Eichler, MD, MPHContributor DisclosuresAll topics are updated as new evidence becomes available and our peer review process is complete.Literature review current through: Apr 2017. | This topic last updated: Mar 01, 2017. 

 

 

アスピリンに解熱鎮痛作用はあるか?

 定期的に服用される”低用量”アスピリンは、解熱鎮痛作用は乏しく、体温上昇はマスクせず、また、鎮痛としてNSAIDsの上乗せは有効である

 

現在の医療では、非常に頻繁に用いられているアスピリン

 

その抗血小板作用から、本邦でも

脳梗塞》*1

急性期抗血小板療法;アスピリン160〜300mg/d (Grade A)

慢性期抗血小板療法;アスピリン  75〜150mg/d (Grade A)

《STEMI/NSTEMI》*2

抗血小板療法;発症直後162〜325mg/d (Grade A)

       PCI後       81〜162mg/d (Grade A)

 として、血栓塞栓性疾患に頻用されている。

 

 バイタルサイン、特に”体温”を評価する際は

「解熱鎮痛作用をもつ薬剤*を服用している場合、体温上昇がマスクされる可能性があることに留意する(体温上昇がなくとも、全身性炎症病態は否定できない)」

*NSAIDs、アセトアミノフェン、糖質コルチコイド(ステロイド)製剤など

必要があるが、

(Question .1) 血栓塞栓性疾患でアスピリンを定期的に内服している場合は解熱作用は考慮すべきか?

 

また、鎮痛薬として頻用されているNSAIDsであるが、

(Question .2) 血栓塞栓性疾患でアスピリンを定期的に内服している場合はNSAIDsの上乗せは有効か?

 

さて、設問に対する答えを述べると

血栓塞栓性疾患で定期内服されるアスピリンは”低用量”であり、解熱鎮痛作用は乏しいため、体温上昇はマスクせず、また、鎮痛としてNSAIDsの上乗せは有効である

ということになる。

 

このポイントは用量にある。

すなわち、アスピリンは用量によって、その主たる効果が異なるのである。

具体的には*3

◯低用量(<100mg/d) COX-1               → 抗血小板作用

◯中用量(<4g/d)   COX-1 & COX-2 → 解熱鎮痛作用

◯高用量(>4g/d)      COX-1 < COX-2   → 抗炎症作用

 

とされており、通常、定期内服される”低用量”アスピリンは抗血小板作用が主体である。

 

市販薬で”中用量”アスピリンが含まれる製剤は当然、解熱鎮痛作用があることに注意したい

 

*1 脳卒中治療ガイドライン2015

*2 JCS2012/2013

*3   

www.uptodate.com

 

 

 

 

〜存在診断と質的量的診断を意識する〜

診断は「存在(診断)」→「質的量的(診断)」で行うとよいかもしれない

 

医師が求められることを一言でいえば、「診断と治療」になるのではないでしょうか

 

多くの方々は無意識に行なっている方法と思いますが、今回はこの診断の時の思考プロセスのポイントと思うことを記載します

 

それは

 

「診断は常に存在診断→質的量的診断の順で行う」

 

ということです

 

①まず、存在を診断し

②ついで、質的量的に評価をする

 

自分自身が臨床を行う中で、経験した例を挙げてみます。

 

例1)

「胸痛で来院された○○歳の男性です。」

「胸痛で見逃してはいけないのは心筋梗塞なので、まずをそれを考慮しました。」

「心電図、血液検査、心臓超音波検査をしましたが、特別疑う所見はありませんでした。循環器Drにも相談しましたが、その可能性は少ないとのことで、胸部CTを撮像したところ、肋骨骨折であることがわかりました。」

 

これは、しばしば耳にする「まず緊急性の高い疾患を除外しよう」という原則を用いて

の考え方だと思います。

 

”緊急性が高い疾患を念頭におく”

 

これは非常に重要なことですが、上記の状況(すなわち、すぐにあらゆる検査を行い、

結果が出、さらに専門医にも相談できる)がいつ何時も可能でしょうか。

 

三次救急を行なっている総合病院で、スタッフも充実していればよいかもしれません。

 

○クリニック・診療所

○二次病院の救急外来・病棟

○夜間の当直バイト

○忙しい一般外来

など設備が重厚ではなく、あるいはマンパワー的に緊急での検査・処置が出来ないような状況ではどうでしょうか。

 

おそらく困難と思います。

 

さらにいえば、その”必要性”も疑問です。

 

そもそも、痛みへのアプローチ*として、本例の肋骨骨折の場合は痛みは体性痛であり、対して心筋梗塞は内臓痛、俗に言う”心臓痛”です。つまり、痛みの性状を分析することでその(不要な検査をする)必要性もなくなるはずです。

(ちなみに、このようなアプローチが時間的病態的に出来ない、緊急の状態は例外的にあります*)

(そして、当然、問診から的確に判断が出来ない場合は、検査せざるを得ないことも往々にしてあるでしょう)

 

この例1)で学んだことは「緊急性が高い疾患を念頭におくことは重要であるが、急ぐ状況でない場合には、まず”胸痛がある”という存在診断を行い、次に胸痛の性状を分析するという質的量的診断を行うことでよりReasonableなアプローチ(胸痛が緊急性が高いものか否かを問診である程度判断する)が出来たかもしれない」ということです

 

例2)

「今日、入院した患者さんに、入院時検査として胸部 X線を撮像しました。」

「そしたら、右肺に腫瘤様陰影を認めました。」

「なので、肺がんを疑い、胸部CT検査と腫瘍マーカー、喀痰細胞診を提出しました。」

 

これも、しばしば耳にする「腫瘤は悪性疾患を忘れない」という原則を用いての考え方だと思います。

 

”腫瘤性陰影を見たら、悪性を念頭におく”

 

これは非常に重要なことですが、果たして、いつ何時も可能でしょうか。そして、必要でしょうか。

 

まず「腫瘤があるという存在診断」を行い、

ついで、「腫瘤の性状を分析する*」を行うことで

「腫瘤の形態的特徴からは悪性が疑われますので、専門医に相談します」

「腫瘤の形態的特徴からは良性が疑われるので、数ヶ月後に画像検査で経過をみます」

などのように、一歩踏み込んだ、思考が出来るのではないでしょうか。

 

例3)

「今日、救急搬送された患者さんは重度の高カリウム血症でした。」

「慢性腎臓病があったので、それによる排泄不良が疑われました。」

「・・・」

「検査結果をみると、pH6.6の高度のアシデミアがあり、アシデミアを補正したところ、カリウム値は正常に戻りました。。。」

 

本例においては、高カリウム→腎臓が悪いし、頻度的にも多いから、

腎臓からのカリウム排泄低下でなったのだろうといういわゆる”頻度的診断”が

されていたのだと思います。

 

しかし、高カリウム血症のアプローチ*は

(緊急病態であれば、原因に関わらず、高カリウム血症の治療を開始しますが、)

まず電解質異常の原則(これも別項で述べます)通り、In/Out/Shiftのいずれが原因で

カリウム血症になっているかを確認することです。

 

本例も、基本に忠実に、

○Inの要素   :カリウム摂取過剰

○Outの要素:尿中カリウム排泄低下

○Shiftの要素:酸血症、高血糖(インスリン欠乏)、β遮断

に着目していれば、成因評価が適切にできたのではないでしょうか。

(簡易的には血液ガスと随時尿カリウム濃度から推測)

 

いくつか例を挙げてみましたが、このように、診断の時は「存在(診断)」と「質的量的

(診断)」をしっかり意識すると、より深みをもった論理的なアプローチの一助になるの

ではないかと日々、臨床を行なっている上で感じている次第です。

(例え、結果的に同じ検査をするかもしれないけれど汗汗、自分の中で確定のために

検査をするのと、除外のために検査をするのでは全く意味が異なるのではないかと

個人的には日々、思っています)

 

参考文献)特になし

*すべて、別項で述べます

就任と赴任と着任の違い

赴任 任地へ赴く      :動作を示す:≒go

着任 任地に着く・任務に就く:新しい場所に到着する・役割を担う:

               ≒arrive,assume

就任 上位職に就く     :着任を修飾した言い回し

 

例文)

(元の職場で) ◯◯に赴任することになりました。赴任先は△△にあります。着任後、またご連絡させていただきます。

(新しい職場で)1日付で、着任いたしました◆◆と申します。よろしくお願いいたします。

(第三者から) ◯◯に赴任し、着任された後で、ご連絡頂ければ幸いです。

 

 

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訂正させていただきます。

 

言葉の意味を誤って解釈していました。

 

前回、「就任と赴任と着任の違い」として

 

就任 上位職に就くこと:着任を修飾した言い回し

赴任 任地へ赴くこと:現在の場所から遠方へ:≒go

着任 任地につくこと:遠方から現在の場所へ:≒come

 

のように、記載をさせていただきましたが、改めて確認しましたところ、

 

赴任 任地へ赴く      :行くという動作を示す:≒go

着任 任地に着く・任務に就く:新しい場所に到着する・役割を担う:≒arrive,assume

就任 上位職に就く     :着任を修飾した言い回し(*就任は訂正はありません)

 

のようです。

 

つまり、

・訂正前: 赴任・着任は ”視点によって” 同じことを表現している

・訂正後: 赴任・着任はそもそも示していることが異なっている

になります。

 

よろしくお願いいたします。

 

(以下、訂正前の文章になります)

久しぶりの更新になってしまい、

それが医療系とはあまり関係のない事柄になってしまいました

4月になり、心機一転、便りを書く機会がありました

ところ、

この3つの言葉の違いがしっかり把握出来ていなかったため、今一度、調べてみることにしました(というか、人生で初めてしっかり確認した次第です汗汗)

(大辞林 第三版)によれば、

就任 上位職に就くこと

赴任 任地へ赴くこと。 ・・「(現在の場所から遠方へ)○○へ赴任する」

着任 任地につくこと。・・「(遠方から現在の場所へ)着任した□□です」

だそうで、イメージとしては

赴任 ≒ go

着任 ≒ come

のようなものでしょうか。

そして、特に着任の際に、上位職になる場合は、就任(>着任)となるイメージでと

理解しました。

参考になれば、幸いです。

おしょくじは コースりょうりの じゅんばんで

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血糖値は、食事により上昇します

 

食事は主に三大栄養素である、炭水化物・脂質・タンパク質からなります

 

食後の血糖上昇を抑える1つの方法として”食事の順番の工夫”がいわれています

 

①野菜を先に摂取すると食後の血糖上昇が抑制される(JCBN54:7-11,2014,Diabetic Medicine,30,370-372,2013)

 

②そして、それは2年間にわたって、HbA1cを優位に低下させた(Journal of Japan Diabetic Association 53,16-23,2010)

 

食物繊維が多い食事はGLP1濃度が増え、満腹感が得られやすく、食欲が抑えられる(GLP-1 Alters How the Brain Responds to Food:Boston, Massachusetts:June 9, 2015:ADA)

 

従って、まずは食物繊維を豊富に含む野菜から先にとることが有用といわれています

 

また、糖尿病の程度にもよりますが、一般的には脂質>タンパク質>炭水化物の順番で血糖値が上昇しにくいため、この順番で食事をとるとよいといわれています

 

 

これは、イメージでいうと、和食の会席料理が近いと思います

 

(和食:会席料理)先付→椀物→お造り(刺身)・炊合(煮物)・焼き物・揚げ物・蒸し物→酢の物→ご飯→水菓子

 

ここからは余談ですが、、、フランス料理やイタリア料理のコース料理は栄養素的にみると、順番がやや異なりますのでご注意を。

 

(フランス料理)・・炭水化物がタンパク質の前にきており、野菜が少ない

アミューズ→オードブル→スープ→パン→ポワソン→ソルベ→ヴィヤンドゥ→フロマージュ→デセール

 

(イタリア料理)・・肉魚より先に炭水化物がきており、野菜が先にこない

アンティパスト→プリモ・ピアット→セコンド・ピアット→ヴェルドゥ・ラ→フォルマッジョ→ドルチェ→カフェ

 

 

ざっくりと、コース料理(特に和食の会席料理)を意識するのが覚えやすいのではないでしょうか

〜バイタルサインは生命徴候である②時間を考慮した評価の順序〜

バイタルサインに国際的な定義はない(2017.2現在)

バイタルサインは一般的に、4つの基本と第5、第6があるといわれる

・診療においては時間的猶予も考えて、バイタルサインを評価する

・呼吸→循環→意識→体温 (JATECTMにおけるABCDEアプローチ)

 

それでは、バイタルサインを具体的に考えてみます。

バイタルサインに国際的な定義は存在するのでしょうか?

 

調べてみたところ、、、、見当たりませんでした。

 

が、多くの成書で記載されているようなことが一般的と思われ、そして自分自身も

そのような認識で理解し、対応し、今日までそんなに間違っている感じもなかった

ので、それを記載しようと思います。

 

バイタルサインは基本の4つと第5、第6があると言われています。

 

〜基本のバイタルサイン (Primary vital signs)〜

 呼吸数・心拍数・血圧・体温

http://www.emergencycareforyou.org/Emergency-101/Vital-Signs/

Schriger DL. Approach to the patient with abnormal vital signs. Goldman L, Ausiello D. Cecil Textbook of Medicine. 23rd ed. Philadelphia, Pa:Saunders Elsevier; 2007:chap 7.

 

〜第5のバイタルサイン (fifth vital signs) 〜

 意識レベル*・SpO2**・疼痛*** etc

*J Trauma59: 821–8; discussion 828–9.

**Acad Emerg Med5 (9): 858–65.Pediatrics99 (5): 681–6.Chest94 (2): 227.
***
https://www.va.gov/painmanagement/docs/toolkit.pdfJ Am Board Fam Med22(3): 291–298.

 

〜第6のバイタルサイン (sixth vital signs)〜

 EtCO2*・歩行スピード** etc

*J Trauma59: 821–8; discussion 828–9.Harefuah139 (3–4): 85–7, 168.

**J Am Geriatr Soc51 (9): 314–322

 

(https://en.wikipedia.org/wiki/Vital_signs#Additional_signsより引用)

 

さて、このようにバイタルサインに確立した定義はない上、第5、第6として複数の指標が提唱されています。

 

広義でいえば、バイタルサイン=生きている証しとなりますが、実際の診察においては、上記を網羅的に評価するのではなく、時間的概念も取り入れると非常に有用です。

なぜなら、進行する病態に対して、急ぐことから順番に対応していけば、患者さんを危険な状況からいち早く、蘇生することが可能であるからです。

 

ちなみに、上記のバイタルサインの変遷を想像すると

・基本のバイタルサインは何の道具も使わず、五感で判断できるものとして成立

・その後、

① 医療の発達とともに様々なデバイスが開発されSpO2/EtCO2などが指標として提唱

② 同時に老年医学・緩和ケア的概念から疼痛・歩行速度といったQOL/PSを示唆する指標が提唱

という流れなのかなとも思ったりもしました。

 

話は逸れましたが、ここで、上記のバイタルサインを時間的概念を取り入れて考えてみます。

 

時間的概念というのは、”いよいよ致死的事態になるまでの猶予時間はどのくらいか”ということです。(一説では、その目安として)

気道緊急→数分、呼吸不全→30分、循環不全→1時間、意識障害→45時間( or 即)

と言われており、上記のバイタルサインを取り入れてまとめると

○呼吸(Airway/Breathing)  :呼吸数、SpO2 ± EtCO2

○循環(Circulation)    :心拍数、血圧

○意識(Dysfunction of CNS):意識レベル

○体温(Environment)

の順になります。そして、これはいわゆる生理学的徴候であり、JATECTMコース(http://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html)でも用いられている「まずはPrimary survey(第一段階評価)として、生理学的徴候に着目する(ABCDEアプローチ)」という考え方に通じるものです。

 

(ちなみに、上記以外の”疼痛・歩行スピード”は急性期に必須の生理学的徴候の範囲外と考えており、ここでは考慮しません(後々述べますが、疼痛は主訴として重要であり、鎮痛という対症療法が急性期にも必要であることは言うまでもありません)