おしょくじは コースりょうりの じゅんばんで
血糖値は、食事により上昇します
食事は主に三大栄養素である、炭水化物・脂質・タンパク質からなります
食後の血糖上昇を抑える1つの方法として”食事の順番の工夫”がいわれています
①野菜を先に摂取すると食後の血糖上昇が抑制される(JCBN54:7-11,2014,Diabetic Medicine,30,370-372,2013)
②そして、それは2年間にわたって、HbA1cを優位に低下させた(Journal of Japan Diabetic Association 53,16-23,2010)
③食物繊維が多い食事はGLP1濃度が増え、満腹感が得られやすく、食欲が抑えられる(GLP-1 Alters How the Brain Responds to Food:Boston, Massachusetts:June 9, 2015:ADA)
従って、まずは食物繊維を豊富に含む野菜から先にとることが有用といわれています
また、糖尿病の程度にもよりますが、一般的には脂質>タンパク質>炭水化物の順番で血糖値が上昇しにくいため、この順番で食事をとるとよいといわれています
これは、イメージでいうと、和食の会席料理が近いと思います
(和食:会席料理)先付→椀物→お造り(刺身)・炊合(煮物)・焼き物・揚げ物・蒸し物→酢の物→ご飯→水菓子
ここからは余談ですが、、、フランス料理やイタリア料理のコース料理は栄養素的にみると、順番がやや異なりますのでご注意を。
(フランス料理)・・炭水化物がタンパク質の前にきており、野菜が少ない
アミューズ→オードブル→スープ→パン→ポワソン→ソルベ→ヴィヤンドゥ→フロマージュ→デセール
(イタリア料理)・・肉魚より先に炭水化物がきており、野菜が先にこない
アンティパスト→プリモ・ピアット→セコンド・ピアット→ヴェルドゥ・ラ→フォルマッジョ→ドルチェ→カフェ
ざっくりと、コース料理(特に和食の会席料理)を意識するのが覚えやすいのではないでしょうか
〜バイタルサインは生命徴候である②時間を考慮した評価の順序〜
・バイタルサインに国際的な定義はない(2017.2現在)
・バイタルサインは一般的に、4つの基本と第5、第6があるといわれる
・診療においては時間的猶予も考えて、バイタルサインを評価する
・呼吸→循環→意識→体温 (JATECTMにおけるABCDEアプローチ)
それでは、バイタルサインを具体的に考えてみます。
バイタルサインに国際的な定義は存在するのでしょうか?
調べてみたところ、、、、見当たりませんでした。
が、多くの成書で記載されているようなことが一般的と思われ、そして自分自身も
そのような認識で理解し、対応し、今日までそんなに間違っている感じもなかった
ので、それを記載しようと思います。
バイタルサインは基本の4つと第5、第6があると言われています。
〜基本のバイタルサイン (Primary vital signs)〜
呼吸数・心拍数・血圧・体温
http://www.emergencycareforyou.org/Emergency-101/Vital-Signs/
Schriger DL. Approach to the patient with abnormal vital signs. Goldman L, Ausiello D. Cecil Textbook of Medicine. 23rd ed. Philadelphia, Pa:Saunders Elsevier; 2007:chap 7.
〜第5のバイタルサイン (fifth vital signs) 〜
意識レベル*・SpO2**・疼痛*** etc
*J Trauma. 59: 821–8; discussion 828–9.
**Acad Emerg Med. 5 (9): 858–65.Pediatrics. 99 (5): 681–6.Chest. 94 (2): 227.
***https://www.va.gov/painmanagement/docs/toolkit.pdfJ Am Board Fam Med. 22(3): 291–298.
〜第6のバイタルサイン (sixth vital signs)〜
EtCO2*・歩行スピード** etc
*J Trauma. 59: 821–8; discussion 828–9.Harefuah. 139 (3–4): 85–7, 168.
**J Am Geriatr Soc. 51 (9): 314–322
(https://en.wikipedia.org/wiki/Vital_signs#Additional_signsより引用)
さて、このようにバイタルサインに確立した定義はない上、第5、第6として複数の指標が提唱されています。
広義でいえば、バイタルサイン=生きている証しとなりますが、実際の診察においては、上記を網羅的に評価するのではなく、時間的概念も取り入れると非常に有用です。
なぜなら、進行する病態に対して、急ぐことから順番に対応していけば、患者さんを危険な状況からいち早く、蘇生することが可能であるからです。
ちなみに、上記のバイタルサインの変遷を想像すると
・基本のバイタルサインは何の道具も使わず、五感で判断できるものとして成立
・その後、
① 医療の発達とともに様々なデバイスが開発されSpO2/EtCO2などが指標として提唱
② 同時に老年医学・緩和ケア的概念から疼痛・歩行速度といったQOL/PSを示唆する指標が提唱
という流れなのかなとも思ったりもしました。
話は逸れましたが、ここで、上記のバイタルサインを時間的概念を取り入れて考えてみます。
時間的概念というのは、”いよいよ致死的事態になるまでの猶予時間はどのくらいか”ということです。(一説では、その目安として)
気道緊急→数分、呼吸不全→30分、循環不全→1時間、意識障害→4,5時間( or 即)
と言われており、上記のバイタルサインを取り入れてまとめると
○呼吸(Airway/Breathing) :呼吸数、SpO2 ± EtCO2
○循環(Circulation) :心拍数、血圧
○意識(Dysfunction of CNS):意識レベル
○体温(Environment)
の順になります。そして、これはいわゆる生理学的徴候であり、JATECTMコース(http://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html)でも用いられている「まずはPrimary survey(第一段階評価)として、生理学的徴候に着目する(ABCDEアプローチ)」という考え方に通じるものです。
(ちなみに、上記以外の”疼痛・歩行スピード”は急性期に必須の生理学的徴候の範囲外と考えており、ここでは考慮しません(後々述べますが、疼痛は主訴として重要であり、鎮痛という対症療法が急性期にも必要であることは言うまでもありません)
〜バイタルサインは生命徴候である①感覚を身につける〜
バイタルサインは生命徴候
バイタルサインが不安定な場合は命の危険が迫っているため、早急に対応する必要があるという”感覚”が大事
しばしば、聞かれるこの言葉
「バイタルは?」
「まず、バイタルサインをチェックしよう!」
果たして、バイタルサインとは何か、そしてその意義はどのようなものなのでしょうか?
バイタルサイン(Vital signs)は、読んで字のごとく、”バイタル=生命” ”サイン=徴候”です
言わば、”生きている証し”であり、バイタルサインが崩れている・低下している・切迫しているetcとは、”生命徴候が危うくなっている=命の危険が迫っている”ということです
この言葉のイメージをもつと、急がなければいけないイメージが湧いてくると思います
上で示した言葉の意図は、
①「バイタルは?」 → 「生命徴候は?」 → 「命の危険が迫っていない?」
②「まず、バイタルサインをチェックしよう!」→ 「まず、生命徴候を確認しよう!」 → 「まず、命の危険が迫っていないかを確認しよう」
バイタルサインが不安定な場合は、命の危険が迫っているということであり、早急に対応する
この意識をもつことが重要です。
~診療は常に同じ流れで対応できる②思考プロセスの転換~
○診断名→病態→症状→所見→治療のアプローチはあくまで診断がついてから
○まずは診断をつけるために症状所見へアプローチ
○診断がついたら、疾患に対して詳細にアプローチ
○そのそれぞれの段階で適宜、治療が必要になる
さて、以前は診療に対するアプローチの方法として、
”病態に基づいた生理学的・解剖学的アプローチの重要性”
をお話ししました。
これによって、診療の質が格段に向上し、また、早期認知・早期対応ができるようになり、不安も少なくなった
と述べましたが、その本質はまさに「緊急性が高い状況から順を追っていること」にあると思います。すなわちそのメリットは、
①早期に緊急病態をCatchでき、重篤化・余計な合併症の出現リスクを減らせる
②緊急病態を意識しているため、その見落としが少ない
③緊急病態は一般診察では決してCommonではない(救命救急センター等高次医療機関を除く)が、いざ遭遇すると、慣れていない場合には行動が遅れてしまいがちになる。普段から緊急病態を意識していることから、このような予期せぬ事態にもある程度、対応ができるようになる
④緊急性が高い病態には早期から同時並行的に治療を行う必要がでてくる(例)呼吸不全→その是正、ショック→ショックの離脱etc)が、緊急性に応じて治療も進むため、優先順位を意識した対応ができる
などなど、その恩恵は多大であると思います。
この「思考プロセスの転換」に最初に、つまづいたのはやはり、初期研修の頃でした。
本邦の医療専門の書物では、
①診断 :・・・
②病態 :・・・
③原因 :・・・
④症状 :・・・
⑤身体所見:・・・
⑥検査所見:・・・
⑦治療 :・・・ (時に重症化すると・・・の治療が必要になることもある)
⑧合併症 :
⑨予後 :比較的良好。合併症が出現すると不良になることがある
というような記載をみることがあります。
この記載は”診断ありき・疾患ありき”の方法であり、そもそも目の前に現れる患者さんは、病名をもっては現れません。
上記の記載はあくまで、診断がついた後で役に立つ思考プロセスと思います。
この思考では、患者さんへの対応はどうしても遅くなってしまいがちでした(あくまで僕個人の見解ですが)。それはなぜかと考えれば、自分の頭の中で、上記した①〜⑨の順序を変える必要があったからです。
では、患者さんはどのように受診するのか?
通常の診察を想像すればわかるように、このように症状や所見をもって受診します。
つまり、
④症状 :・・・
⑤身体所見:・・・
⑥検査所見:・・・
②病態 :・・・
①診断 :・・・
③原因 :・・・
⑦治療 :・・・
⑧合併症 :・・・
⑨予後 :・・・
大雑把にいって、このように思考の流れを変える必要があるのです。事実、自分の頭の中ではこのように思考をかえていました。
そして、さらに細かいことをいえば、一番上に示した”緊急性を意識したアプローチ”の意味合いを加えると、そのそれぞれの段階で同時並行的に必要な治療が加わることになります。
⑦治療 :緊急性への対応
④症状 :・・・
⑦'治療 :症状への対症療法
⑤身体所見:・・・
⑥検査所見:・・・
⑦''治療 :所見への対症療法
②病態 :・・・
⑦'''治療 :病態を意識した対症療法
①診断 :・・・
③原因 :・・・
⑦’’’'治療 :原因に対する治療
⑧合併症 :
⑦'''''治療 :合併症に対する治療
⑨予後 :比較的良好。合併症が出現すると不良になることがある
やや煩雑になってしまいましたが、要は
○診断名→病態→症状→所見→治療のアプローチはあくまで診断がついてから
○まずは診断をつけるために症状所見へアプローチ
○診断がついたら、疾患に対して詳細にアプローチ
○そのそれぞれの段階で適宜、治療が必要になる
という思考プロセスの転換がReasonableな診療のコツになるのではないかと思っています。
〜緊急度(Acuity)と重症度(Severity)〜
〜まとめ〜
・緊急度は ”時間的” 概念である → 緊急度が高いほど、急ぐ!
・重症度は ”予後的” 概念である → 重症度が高いほど、予後が不良である
・緊急度と重症度は異なる概念であるが、オーバーラップすることがある
(例)緊急度が高く、重症度が高い。緊急度は高いが、重症度は低い。)
・優先順位は緊急度>重症度である
診療の場で、しばしば、この2つの概念が重要となります。
ある疾患、病態を考えるときに、「緊急であるほど、重症であるほど」対応が難しくなります。
では、この2つの違いは何でしょうか。
研修医の頃は、「緊急度と重症度は”違う”。まずは緊急度が高い疾患を診断・除外するのが大事だ」と言われ、とにかく、緊急性が高いものを考えるという思考で診療にあたっていました。
それはそれで、間違ってはいなかったのですが、自分が最も誤解していたのは緊急度と重症度は”違う”という点でした。
自分は、この”違う”という言葉をこのように捉えていたのです。
診療をするうちに、「確かに緊急度と重症度は異なるが、往往にして、緊急度が高いものは重症度も高いよな。違うってどういうこと」という疑問がわいてきました。
さて、
緊急度(Acuity)は時間的概念です。
つまり、”急がないと状態が悪くなる”ということです。
対して、
重症度(Severity)は予後的概念です。
これは”分単位・時間単位では大きく変わらないけれども、生命予後・機能予後はよくないよ”ということです。
したがって、診療においては”いずれも重要”ですが、分単位・時間単位での”対応の優先順位を考えると、緊急度>重症度となる”わけです。
この、緊急度、重症度は当然、重なるものもあれば、そうでないものもあるわけです。
具体的には、以下のようなものでしょう(例えが間違っていたら、すみません)
・緊急度高・重症度高(例)循環不全を伴う急性心筋梗塞症(ACS-STEMI-#5 100%))
・緊急度低・重症度高(例)がん)
・緊急度低・重症度低(例)かぜ症候群)
つまり、緊急度と重症度は”違う”というのは”同じではないが重なることもある”ということだったのです。
これをわかりやすくすると、このようなイメージでしょうか。
当然、同じ疾患でも合併病態・背景・年齢等々で変わってくると思いますが、重要なことは
・緊急度と重症度の両者を意識する
・緊急度>重症度の順で対応する
ということになると思います。
参考)
緊急度判定の体系化;発症から根本治療まで:日臨救医誌(JJSEM)2016;19:60-5(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/19/1/19_60/_pdf
ブログと知的財産権
ブログを綴る上で、重要なのが知的財産権です
今回、ブログを始めるにあたり調べましたので、簡潔にまとめてみました
〜まとめ〜
「自分以外の文章・画像・動画をブログに記載する場合に著作権を考慮する」
「具体的には、引用を行う」
「引用を行う条件を満たす」
知的財産権(Intelelctual property lights)とは、
・知的財産(著作物など人間の創造的活動により生み出されるもの)に関した、
ものではなく”無体物である情報”に対する権利
とされています。(知的財産基本法:平成14年法律第122号)
具体的には、
・著作権
が代表的なものです。
このうち、ブログ記載で特に関連するものは、著作権ということになります。
そもそも、著作物は、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条)であり、具体的には、
・文章
・画像
・動画
・音楽
がこれにあたります。
さて、著作権ですが、以下の特徴があります。
〜著作権〜
① 作成した段階で権利が発生し、届出は必要ない
② 目的は関係ない(非営利でも権利がある)
③ 私的使用のための複製は可能(ブログは容易に閲覧可能であり私的使用外)
つまり、実際に利用するためには”引用”という手段を使うことになりますが、ここにも条件があるようです。
〜引用〜
・公正な慣行に合致 ≒ 「明瞭区別性」(引用部分が明瞭に区別できる)
・目的上、正当な範囲内 ≒ 「必然性」(文脈から引用の理由、範囲が合理的)
「主従関係」(質量的に自らの著作部分が「主」で引用部分は「従」)
(著作権法第48条)
・出所の明示 ≒ 引用元を明記
何をするにも、日本は法治国家ですので、法に則るのが大切です
参考)
第1回 ブログを書くときに知っておきたい、著作権に関する知識【セコム】
AIと人間
仕事中、ふと、「将来は病院の看護の領域にもAIが関わってくるかもしれない」という会話をききました
AI
artificial intelligence
すなわち「人工知能」です
AIと仕事の関係が、一躍、注目されたきっかけとなったのは下記の論文のようです
THE FUTURE OF EMPLOYMENT:HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne September 17, 2013)(http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf)
これによると、
・ガウス過程(gaussian process classifier)を用いた方法で、
・米国における702の職種が、コンピューター化(computerisation)される可能性を分析した
ところ、
「将来的に47%の仕事がコンピューター化される可能性がある」という結果でした
具体的な職種は上記論文Appendixに具体的に記載されていますが、それをみてみると、2つのことがみえてきました
1.コンピューター化しやすい仕事がある
コンピューターがコンピューターたるためにはプログラムが必要ですので*、プログラミングが容易で実行しやすい仕事がコンピューター化しやすいということになります。機械作業で行われている工場での大量生産みたいなものでしょうか。そして、AIとなると、さらに複雑なことでも対応できるようになるのかもしれません。
一方で、計算式では表せないこころ的側面や、新しいものを生み出す創造的側面はプログラミングが難しいかもしれません。
2.内容が多岐にわたる職種の場合は、その内容によってコンピューター化されるものとされないものがでてくる
1つの仕事でもその内容が単一ではないことがあります。看護の仕事を例に挙げると、1.で述べたように体位交換・食事・排泄介助などは比較的プログラミングしやすく、心に寄り添うケア的側面は難しいものとなりそうです
いずれにしても、AIに取って代わられるといようなネガティヴな考えではなく、
・精神的・肉体的負担が強いがプログラミングが可能な部分はAIとしての強みを生かし、
・コンピュータ化しにくい”こころ(心情)”と”創造(Innovation)”を必要とする部分で人間が活躍する
ような、win-winである共存社会は1つのかたちかもしれません
参考文献)
*Silberschatz, Abraham (1994). Operating System Concepts, Fourth Edition. Addison-Wesley. pp.58.ISBN 0-201050480-4.